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「夢みる人びと」七つのゴシック物語2 イサク・ディネセン
読書
「夢みる人びと」七つのゴシック物語2
イサク・ディネセン 作
(白水Uブックス)

手を替え品を替え、夢の中にいるような楽しさ。物語性が濃く、ストーリにあっとおどろく仕掛けがある。上質の味わいを持つ幻想文学。

この本の上巻にあたる「ピサへの道」七つのゴシック物語1を読んだのが2013年の10月で、いつか下巻を読むつもりでなんと7年以上経ってしまった。

「エルシノーアの一夜」:幽霊譚。土地のサロンでは中心となる聡明な姉妹だが、人生の体験はとぼしいまま高齢を迎える。かたや美麗の弟は若きうちに出奔して海賊となったあげくに死んでしまう。ストーリーを繋ぐのは家を守り続けたばあやだが、幽霊出現後登場しなくなるのが残念だ。

「夢みる人びと」:甲板上で語られる思い出話。その話の中で語り手以外の人間がさらに語りだすので、逸話が何種類も重なって出てくる。この方法もオムニバス作品のようで効果的だが、実は逸話はみなつながっていて、核となる女性は実は同一人物。何度も名前を変えて複数の人生を生きる女。ストーリーは大いに冒険と格闘とクライマックスがあり娯楽性に惜しみがない。最後にまた甲板上にもどり、おちついて物語全体を概観できる仕掛け。

「詩人」:才能ある若手詩人のパトロンとなるのはいいが、老齢ながら若い女と結婚して、若き男女の人生をコントロールしようとする人物。この思い上がりが悲劇の原因だが、どんな悲劇に落ち着くのか最後まで目が離せない。女はインテリではないが異常な人格なので、何をしでかすかわからないスリリングな雰囲気がある。

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