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「ヴォィツェク/ダントンの死/レンツ」

読書
「ヴォィツェク/ダントンの死/レンツ」
ビューヒナー 作
(岩波文庫)

19世紀前半、23歳で夭折したドイツ人作家ビューヒナー。時代に先んじて時代を超えた代表的戯曲と小説。

訳者解説によると戯曲史からみれば画期的・先駆的で彗星的存在ということだが、演劇に疎い自分としてはそれはわからない。しかし3編とも話自体が起伏に富み、めまぐるしい場面転換の連続でたいへんおもしろく、セリフもいきいきとして魅力的だった。

「レンツ」:劇作家レンツ(1751-1792年)。その悲劇的な生涯の一端を描いた小説作品。山道を行く情景描写に心迫るものがあり、それが作風の特徴かと思ったが、主人公レンツが統合失調症をしだいに悪化させていく様子は医者が見ていたかのような迫真の恐ろしさ。

「ヴォィツェク」:働き者の鬘師ヴォィツェクが嫉妬のあまり愛する妻を刺し殺して池に沈めてしまうという実在の事件をモデルにした劇作。このヴォィツェクという小心な好人物が犯罪に至るまでが情けない。妻マリーが彼を愛しているだけに痛々しい。

「ダントンの死」:フランス革命に詳しくなくともワクワクと読める戯曲。基本的にはダントン一党とロベスピエール公安委員会らとの抗争だが、ダントンは虚無的で多面性のある文芸的な人格として描かれる。かといってロベスピエールが荒々しい人物というわけでもない。どちらに心情をよせてもいいが、皆かなり若々しく感じる。しかも線の細い二枚目風の印象だが実際のダントンの風貌はまるで正反対だ。

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