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漫画家まどの一哉ブログ

   
「19世紀イタリア怪奇幻想短篇集」
読書
「19世紀イタリア怪奇幻想短篇集」
(光文社古典新訳文庫)

今まであまりなかった19世紀のイタリア幻想文学アンソロジー。幽霊譚や心理小説・寓意小説まで様々。本邦初訳。

「黒のビショップ」アッリーゴ・ボイト:チェスの駒が黒と白であることを利用して、名人である白人と秀才の黒人とのチェス対戦を描く。まだまだ黒人への偏見が強い社会で優秀な黒人をとりあげるが社会派的な作品ではない。黒人トムの異様に研ぎ澄まされた心理が鬼気に迫って悪夢的な迫力がある。

「夢遊病の一症例」ルイージ・カプアーナ:警察本部に努める主人公が、真夜中に自覚のないまま書いたある事件の報告書。これが実際の事件の予知夢となっている。夢遊病が巻き起こすいざこざと、推理サスペンスを混ぜ合わせた二重仕掛けの構成。全体が病的心理学の症例報告の形を取っていて不気味だ。

「死後の告解」レミージョ・ゼーナ:深夜、何者かに操られるように向かった先で、死んだばかりの人間の最後の告解を聞く。それだけの話だが派手な着想がない分、暗く静かで落ち着いた雰囲気があって良い。

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