漫画家まどの一哉ブログ
「通話」
読書
「通話」
ロベルト・ポラーニョ 作
チリ・メキシコ・スペインなどで暮らし、スペイン語で多くの小説を書いて2003年に50歳で死んだ著者の短編集。
「文学の冒険」:作家Bは自作の中で知り合いの売れっ子作家Aをモデルにとりあげ、その偽善性と御用作家ぶりを揶揄する。その後Bもはじめて大手出版社から本を出すが、これをAが手放しで絶賛した。これにはなにか裏があるのだろうか?Aの態度が気が気でならなず延々と悩むBが描かれるが、とうとうAと会うことになった直前、目を通したAの新作はすばらしいものだった。
「刑事たち」:車を走らせながらあれこれと雑談にふける二人の警官。ある日自分たちの警察署に中学時代の同級生が連れられてきた。そいつは接見禁止でカミソリもタオルも持たせてもらえなかった。しかも今の自分の様子を鏡で見ようともしない。なぜなら鏡に映るのは別人だからだという。そんなばかなことはあるまいと主人公の警官が鏡を見てみると、そこには肩越しにうしろから覗く知らない男と無数の人間の顔が…。しかしそれはほんの一瞬のことだった。
「ジョアンナ・シルヴェストリ」:37歳ポルノ女優として成功したジョアンナは、かつてポルノ界の大スターだったジャック・ホームズに会いにいく。借りたポルシェをとばしてようやくたどり着いたボロボロのバンガロー。今や業界から離れて無気力な生活を続けるジャック。もう来るなよと言われたようなものだけど、この人にはアタシが必要だと決意するジョアンナ。かれの大きなぶよぶよになったペニスを太ももの間に挟んで泣きながら眠った。そして二人がただ生きているということが意味あることだと感じるのだった。
いろいろな人々の人生の変転がめくるめく繰り広げられ、男と女たちがくっついたり離れたり、みんなフツーの人間で、それだけにおおきな振幅はないが読んでいるとふるふると心に沁みてくる。これこそ小説の醍醐味だ。理屈抜きがいい。
「通話」
ロベルト・ポラーニョ 作
チリ・メキシコ・スペインなどで暮らし、スペイン語で多くの小説を書いて2003年に50歳で死んだ著者の短編集。
「文学の冒険」:作家Bは自作の中で知り合いの売れっ子作家Aをモデルにとりあげ、その偽善性と御用作家ぶりを揶揄する。その後Bもはじめて大手出版社から本を出すが、これをAが手放しで絶賛した。これにはなにか裏があるのだろうか?Aの態度が気が気でならなず延々と悩むBが描かれるが、とうとうAと会うことになった直前、目を通したAの新作はすばらしいものだった。
「刑事たち」:車を走らせながらあれこれと雑談にふける二人の警官。ある日自分たちの警察署に中学時代の同級生が連れられてきた。そいつは接見禁止でカミソリもタオルも持たせてもらえなかった。しかも今の自分の様子を鏡で見ようともしない。なぜなら鏡に映るのは別人だからだという。そんなばかなことはあるまいと主人公の警官が鏡を見てみると、そこには肩越しにうしろから覗く知らない男と無数の人間の顔が…。しかしそれはほんの一瞬のことだった。
「ジョアンナ・シルヴェストリ」:37歳ポルノ女優として成功したジョアンナは、かつてポルノ界の大スターだったジャック・ホームズに会いにいく。借りたポルシェをとばしてようやくたどり着いたボロボロのバンガロー。今や業界から離れて無気力な生活を続けるジャック。もう来るなよと言われたようなものだけど、この人にはアタシが必要だと決意するジョアンナ。かれの大きなぶよぶよになったペニスを太ももの間に挟んで泣きながら眠った。そして二人がただ生きているということが意味あることだと感じるのだった。
いろいろな人々の人生の変転がめくるめく繰り広げられ、男と女たちがくっついたり離れたり、みんなフツーの人間で、それだけにおおきな振幅はないが読んでいるとふるふると心に沁みてくる。これこそ小説の醍醐味だ。理屈抜きがいい。
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