漫画家まどの一哉ブログ
「西の魔女が死んだ」 梨木香歩
「西の魔女が死んだ」
梨木香歩 作
(新潮文庫)
学校をやめて大好きなおばあちゃんの家で暮らし始めた少女。豊かな自然とともに生きる暮らし方とともに魔女の手ほどきを受ける。
はるか5年前に「冬虫夏草」を読んで面白かったので、いつか読もうと思っていた代表作。思ったとおり余計なもののない優しい自然な文体で心地よかった。現代の家族や少女を描いても、さも典型的な単身赴任や登校拒否のようすを描写するでもなく、さりげなく背景に置くくらいで馴染みやすい。
西欧人であるおばあちゃんの洋風オーガニックな暮らし方が、なんとも気持ちよさそうで、やっぱりハーブティーはいいなとも思うが押し付けがましくなく、読者に強要するふうでもないのは、里山の自然描写が魅力的なせいでもあると思う。
少女の心理がていねいに描かれ、感情を揺さぶるラストシーンに至る仕掛けはさすがに展開がうまいなと思った。
PR