漫画家まどの一哉ブログ
「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」青木薫
読書
「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」人間原理と宇宙論
青木薫 著
「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」人間原理と宇宙論
青木薫 著
たまには素人向けの科学読み物を読んでスッキリするのが自分の趣味。どんな分野でもそうだが、専門書は歯が立たないのでこれくらいがよろし。副題にある人間原理というのは、宇宙が人間の存在を目的として創られたと考える宗教的な立場で、現在の一般科学からは最も嫌われる思考法。この人間原理が目的論とは違った意味で近ごろは見直されているというので、興味深く読んだ。
「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」という問いかけは、早い話あれこれの物理定数は、なぜそのような数値なのかという問いとイコールであるらしい。そもそもその数値にいろいろなコインシデンス(偶然の一致)があって不思議な気がするのが、この疑問のスタートだったのだ。この問題を人間原理で考えると、宇宙は人間に認識されるために出来ている。あるいは認識する目的を持って認識できる存在としての人間を作り出した。と考えてしまう。なぜ宇宙は人間が生まれるのにちょうど良い環境を作り出しているのか。
ところがこれは観測選択効果とよばれるものの見方で、観測者である人間に都合の良い立場からの発想にすぎない。宇宙がたったひとつであるならば、そう考えるのもムリからぬ話だ。自分はかつて多宇宙に関する読み物をおもしろく読んで、うすうす気付いていたのだが、やはり宇宙は我々が属する宇宙以外にも無数にあるらしい。それならば、我々が認識する主体として存在している、あるいはあれこれの物理定数を持っているのも、たまたまなだけであって、そうではない宇宙もたくさんあるのだ。したがって観測選択効果に惑わされることなく、我々が特別な存在ではないこと。「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」も、たまたまそうであるというだけのことだと解るのである。むにゃむにゃ。
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