漫画家まどの一哉ブログ
「ロボットと人間」人とは何か 石黒 浩
読書
「ロボットと人間」人とは何か
石黒 浩 著
(岩波新書)
人間そっくりのアンドロイド開発の最先端をいく著者が、ロボットと人間の様々な交流・実験を通じて、人とは何かの輪郭に迫る。
会話中の細やかな表情の変化や手の動きまで表現できるアンドロイド。しかも自立して判断して会話に応えており、人間と相対しているのとほとんど違和感がない。面白いのは会話の成立・継続というものをかなり幅広く余裕を持って捉えていて、必ずしも一つのテーマをお互いの応答で掘り下げていることに限定しない。軽く相槌を打って形式的にでも会話が進行すればよく、実際質問の意味をわかっていなくても良しと見なす。いわれてみれば普段の人間の会話もそんなものかもしれない。
個人的には人間そっくりのアンドロイドでなくても、玩具的なかわいらしいマスコットロボットでも別にいいと思うのだが、アンドロイドであることによって、まさに人の成り立つ条件がわかってくる。
人は遠隔操作でロボットを操っていても、あたかも自分の体を動かしている感覚になってしまうようで、技術の延長・拡大により見えない場所、行けないところも自在に体験できる。しかも直接脳波でそれを実行できるとなると人間の体験に革命が起きる。
あらかじめ決められた動作を行っているだけでも、人はロボットに心を感じる。また、ロボットと話しているときのほうが心置きなく話しやすいなど、納得できる話である。
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