漫画家まどの一哉ブログ
「レ・ミゼラブル」読了
読書(mixi過去日記より)
「レ・ミゼラブル」読了
分厚い新潮文庫で5巻まである、ユゴー作「レ・ミゼラブル」
8ヵ月かかって、やっと読み終わりました。
波瀾万丈の人間ドラマ、善対悪の対決です。
●なんといっても面白いのは1・2部。主人公はジャン・ヴァルジャン。有名な銀の燭台を盗む話。良心への目覚め。
そして無実の罪で捕まった男を救うために、地位を捨て、自ら正体を明かして名乗り出る話。それまでの葛藤が読みどころ。ドキドキする。
また追われる身となったジャン・ヴァルジャンが、悪党テナルディエの宿屋でこき使われる孤児コゼットを救出するところも胸躍る。
●3部以降は青年マリユスが登場し、話の中心がマリユスとコゼットに移行し、悪人達の企みによる危機からの脱出や、愛し合う二人の逢瀬など、いってみればドラマの王道を行くが如しで、やはりジャン・ヴァルジャンの良心の葛藤といった面がないともの足らないね。またジャヴェール警部は心を見ないで法を見るといったイヤなやつなんだけど、ドラマには欠かせない塩味のようなもの。
そんなふうに登場人物は皆典型的な悪人、善人に描かれていて、わかりやすいのはいいが、それにしてもコゼットやマリユスがあまりにも善人すぎる。とくにコゼットはあまりにもピュアで美しい心の持ち主、汚れを知らぬ天使のような乙女であって、つまらなくなってしまった。
それにひきかえ、よかったのは悪人テナルディエの娘エポニーヌだ。貧困のどん底で生きる彼女は青年マリユスに恋をし、騒動のさなか、マリユスをかばって銃弾に倒れるのだった。
このエポニーヌがミュージカルで歌うのが有名な「ON MY OWN」で、島田歌穂や本田美奈子、新妻聖子などいちばん歌える人がやってる役みたいだ。そんなことも知らなかったよ。
当然声のきれいな人がやってるけど、エポニーヌは設定では、もっとヤンキーでしゃがれ声だからね。俺は木下優樹菜想定で読んでいた。
歌を聴いてるだけで泣きそうになるから、舞台は見んとこ。
●ジャン・ヴァルジャンは施しを与える人で、民主化運動に走る人物ではない。とはいえ作者ユゴーは、けっしてキリスト教の神を良心の前提とはしていない。ではなにが良心の所以かについて、深い考察をしているわけではなくて、それより実際目の前で貧困にあえぐ悲惨な境遇の人々を、社会が放っておいてはいけないという、すこぶる実際的な衝動からこの物語を書いたようだ。社会派小説と言えばそうかも。
したがって随所に作者ユゴーの、パリの歴史や文化についてのウンチク(説教)が挟まれ、またこれが長いから挫折する人も多いと思うが、基本的には飽きさせないストーリーです。
「レ・ミゼラブル」読了
分厚い新潮文庫で5巻まである、ユゴー作「レ・ミゼラブル」
8ヵ月かかって、やっと読み終わりました。
波瀾万丈の人間ドラマ、善対悪の対決です。
●なんといっても面白いのは1・2部。主人公はジャン・ヴァルジャン。有名な銀の燭台を盗む話。良心への目覚め。
そして無実の罪で捕まった男を救うために、地位を捨て、自ら正体を明かして名乗り出る話。それまでの葛藤が読みどころ。ドキドキする。
また追われる身となったジャン・ヴァルジャンが、悪党テナルディエの宿屋でこき使われる孤児コゼットを救出するところも胸躍る。
●3部以降は青年マリユスが登場し、話の中心がマリユスとコゼットに移行し、悪人達の企みによる危機からの脱出や、愛し合う二人の逢瀬など、いってみればドラマの王道を行くが如しで、やはりジャン・ヴァルジャンの良心の葛藤といった面がないともの足らないね。またジャヴェール警部は心を見ないで法を見るといったイヤなやつなんだけど、ドラマには欠かせない塩味のようなもの。
そんなふうに登場人物は皆典型的な悪人、善人に描かれていて、わかりやすいのはいいが、それにしてもコゼットやマリユスがあまりにも善人すぎる。とくにコゼットはあまりにもピュアで美しい心の持ち主、汚れを知らぬ天使のような乙女であって、つまらなくなってしまった。
それにひきかえ、よかったのは悪人テナルディエの娘エポニーヌだ。貧困のどん底で生きる彼女は青年マリユスに恋をし、騒動のさなか、マリユスをかばって銃弾に倒れるのだった。
このエポニーヌがミュージカルで歌うのが有名な「ON MY OWN」で、島田歌穂や本田美奈子、新妻聖子などいちばん歌える人がやってる役みたいだ。そんなことも知らなかったよ。
当然声のきれいな人がやってるけど、エポニーヌは設定では、もっとヤンキーでしゃがれ声だからね。俺は木下優樹菜想定で読んでいた。
歌を聴いてるだけで泣きそうになるから、舞台は見んとこ。
●ジャン・ヴァルジャンは施しを与える人で、民主化運動に走る人物ではない。とはいえ作者ユゴーは、けっしてキリスト教の神を良心の前提とはしていない。ではなにが良心の所以かについて、深い考察をしているわけではなくて、それより実際目の前で貧困にあえぐ悲惨な境遇の人々を、社会が放っておいてはいけないという、すこぶる実際的な衝動からこの物語を書いたようだ。社会派小説と言えばそうかも。
したがって随所に作者ユゴーの、パリの歴史や文化についてのウンチク(説教)が挟まれ、またこれが長いから挫折する人も多いと思うが、基本的には飽きさせないストーリーです。
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