漫画家まどの一哉ブログ
「ブルガーコフ作品集」
読書
「ブルガーコフ作品集」
ミハイル・ブルガーコフ 作
かつて季刊「iichiko」に掲載されたブルガーコフの短編作品を集めた珍しい書。最近モーレツにファンになったものだから、高価ながらも購入して読んだ。ブルガーコフは生前多くの作品をソビエト政府に発禁にされ、劇団の演出家として生計を立てていたのだが、それでも年譜を見るとかなりたくさんの作品を書いている。名作「女王とマルガリータ」は発表の可能性もないまま書かれた遺作であるが、芸術家の性(さが)というか根性というか、書き続けるのが自然だったのだろう。これが宿命だ。
その「女王とマルガリータ」の初期稿も一部掲載されているが、最終稿とはずいぶん違うものだった。私の解釈では、ブルガーコフはかなりユーモラスな作風なのだが、この作品集で印象に残ったものは以下の悲しい話だった。
「赤い冠」:出征した弟を一目母親に会わせるため探しに行く兄の私。ようやく出会えたと思った弟だが、あえなく戦禍に倒れてしまう。その死んだ弟が毎晩壁から立ち現れて私を苦しめる。
「モルヒネ」:チェーホフとおなじくブルガーコフも人生の最初は医者だった。地方医として赴任してモルヒネ中毒に陥った自身の体験をもとに書かれた作品。幻想性は薄いが死に向かって滅び行く主人公があわれ。
「ブルガーコフ作品集」
ミハイル・ブルガーコフ 作
かつて季刊「iichiko」に掲載されたブルガーコフの短編作品を集めた珍しい書。最近モーレツにファンになったものだから、高価ながらも購入して読んだ。ブルガーコフは生前多くの作品をソビエト政府に発禁にされ、劇団の演出家として生計を立てていたのだが、それでも年譜を見るとかなりたくさんの作品を書いている。名作「女王とマルガリータ」は発表の可能性もないまま書かれた遺作であるが、芸術家の性(さが)というか根性というか、書き続けるのが自然だったのだろう。これが宿命だ。
その「女王とマルガリータ」の初期稿も一部掲載されているが、最終稿とはずいぶん違うものだった。私の解釈では、ブルガーコフはかなりユーモラスな作風なのだが、この作品集で印象に残ったものは以下の悲しい話だった。
「赤い冠」:出征した弟を一目母親に会わせるため探しに行く兄の私。ようやく出会えたと思った弟だが、あえなく戦禍に倒れてしまう。その死んだ弟が毎晩壁から立ち現れて私を苦しめる。
「モルヒネ」:チェーホフとおなじくブルガーコフも人生の最初は医者だった。地方医として赴任してモルヒネ中毒に陥った自身の体験をもとに書かれた作品。幻想性は薄いが死に向かって滅び行く主人公があわれ。
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