漫画家まどの一哉ブログ
「ザイム真理教」
森永卓郎 著
(三五館シンシャ)
頑なに財政均衡主義を守り、税収削減を一歩たりとも許さない財務省。長年に渡り日本人を支配してきた財務省のカルト戦略を明らかにする話題の書。
国の借金というものをわれわれ個人や企業一般のそれと同じに考えてよいか?このあたりは普段からよくわからない問題で、自分の知識では考えを進めることができない。
さて、財務省の吹聴する財政赤字というものは保有資産を無視しており、これを勘案すると日本はそれほど多大な借金を抱えているわけではないようである。(またその負債が国民一人一人の肩にかかっているかのように脅すのも姑息だ)
日銀(中央銀行)というものの理解が難しく、国債を日銀が直接買うことで何が行われたことになるのかがイメージできない。この負債は返済期限がくるたびに借り換えを繰り返し続けても問題はないらしい。
実際2022年にオーストラリアの中央銀行で純資産がマイナスになっていたが、中央銀行はお金を作る能力があるため支払いに何の問題も起きなかった。また日本で2020年に新型コロナ対策で80兆円もの赤字が出てプライマリーバランスがおおきく崩れても、ハイパーインフレも国債の暴落も起きていない。こういう具体例を示されると納得してしまう。
それならば増大する社会保障費対策と称して消費税を上げていくのは国民生活を無視した愚策であり、財政出動も少ししかしないのであれば我々の貧困化は避け難いものだ。これもザイム真理教による財政均衡主義の布教が徹底して国民に行き渡っている成果である。
本書では国民生活をかえりみないザイム真理教の活動の結果であり目的でもある富裕層の優雅な人生設計が紹介される。またこの本を出版することが困難であったエピソードも面白いが笑い事ではないのだ。
もとよりしっかり理解できているわけではないが、スラスラと楽しく読めた。