漫画家まどの一哉ブログ
「カフカの父親」 ランドルフィ
読書
「カフカの父親」
トンマーゾ・ランドルフィ 作
ランドルフィは以前「月ノ石」という長編を読んで、なんとも美しく幻想的な味わいに酔いしれたが、この短編集はナンセンスな作風で集められたもの。どの短編もありえない出来事を描いて放り投げたままという自由な印象で、痛快な感じはないがうっすらと笑える。
「カフカの父親」:表題作はごく短いものだが、毒虫ならぬ大蜘蛛はカフカの親父さんなのだから、天才作家もおおいに遊ばれている。
「ゴーゴリの妻」:文豪の奥さんがなんとポンプで空気を送り込んでふくらませるゴム人形で、しかもかなり手の込んだ造りになっている。天下の文豪もここまで遊ばれては形無しだが、ゴーゴリはいかにもゴーゴリらしくて愉快愉快。
「幽霊」:お屋敷の主人や召使たち全員で幽霊役を設定して夜中に大騒ぎして遊んでいる。そこへ泥棒がまんまと幽霊の一人に扮して忍び込み、屋敷の人々の秘密を覗き見るという設定。このなかで本当は愛しているのだが頑なに拒否する若き女のセリフが奇妙だ。愛と拒絶の間をいったりきたりする、興奮した矛盾の塊のような内容が実に珍しく、常軌を逸していて、よくこんなセリフを書けるもんだと感心した。
「カフカの父親」
トンマーゾ・ランドルフィ 作
ランドルフィは以前「月ノ石」という長編を読んで、なんとも美しく幻想的な味わいに酔いしれたが、この短編集はナンセンスな作風で集められたもの。どの短編もありえない出来事を描いて放り投げたままという自由な印象で、痛快な感じはないがうっすらと笑える。
「カフカの父親」:表題作はごく短いものだが、毒虫ならぬ大蜘蛛はカフカの親父さんなのだから、天才作家もおおいに遊ばれている。
「ゴーゴリの妻」:文豪の奥さんがなんとポンプで空気を送り込んでふくらませるゴム人形で、しかもかなり手の込んだ造りになっている。天下の文豪もここまで遊ばれては形無しだが、ゴーゴリはいかにもゴーゴリらしくて愉快愉快。
「幽霊」:お屋敷の主人や召使たち全員で幽霊役を設定して夜中に大騒ぎして遊んでいる。そこへ泥棒がまんまと幽霊の一人に扮して忍び込み、屋敷の人々の秘密を覗き見るという設定。このなかで本当は愛しているのだが頑なに拒否する若き女のセリフが奇妙だ。愛と拒絶の間をいったりきたりする、興奮した矛盾の塊のような内容が実に珍しく、常軌を逸していて、よくこんなセリフを書けるもんだと感心した。
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