漫画家まどの一哉ブログ
「オネーギン」 プーシキン
読書
「オネーギン」プーシキン 作
(岩波文庫)
オネーギンは才ある青年でありながら、タチヤーナの求愛に真剣になれず無碍に断ってしまう。その後友人との決闘沙汰を起こし、行くへ定まらぬ人生の果てに、今度こそタチヤーナを愛そうとするが…。
19世紀文学の舞台となる恵まれた貴族社会にあって、多方面に才能があり社交界でも人気の青年が、やがてなにもかもに興味を失い虚無的な態度に傾いて行くのは、小説の上でも実際にもよくある現象だと思う。
このような主人公がやがてどのような大人になって行くかまで書かれることはあまりなく、青年のうちに破滅する役割が文学史上の通例だ。
プーシキンは自身が活動的で派手な人生を送るタイプであるからか、この作品の語り口は非常に面白く飽きさせない。一語一語が魅力的で、数行追うだけで興奮してしまう。まさに登場人物が時代を飛び越えて我々に迫る出来栄え。ひょっとしたら原文の韻文を現代語訳して散文に置き換えた効果というものがあるのかもしれない。
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