漫画家まどの一哉ブログ
「アダムとイヴ/至福郷」 ブルガーコフ
読書
「アダムとイヴ/至福郷」 ブルガーコフ 作
「アダムとイヴ/至福郷」 ブルガーコフ 作
大好きなブルガーコフだが、戯曲を読むのは小説とはまた違って、どうしてもやや大味な感を受ける。内面に深く切り込むような作品でなく、社会の外貌を描くアイロニカルな作風だし、相変わらずとぼけた笑いもあって、いささかコント芝居のような印象を勝手に描いてしまう。ブルガーコフの友人ザミャーチンやチェコのチャペックの例をみても、社会主義黎明期は科学技術の画期でもあったのか、初期SFの設定がおもしろい。
「アダムとイヴ」:敵国の毒ガス攻撃によって一瞬にして壊滅したレニングラード。エフロシーモフ博士の開発したカメラから発する光線を浴びた数人の人々だけが生き残った。残された共産党員代表として統率を図ろうとするアダム。だが唯一の女性イヴの恋心はアダムからエフロシーモフへと移り変わっていく。そんな中、残された者の期待をのせて飛び立った仲間の飛行機が戻ってきたが…。
「至福郷」:天才技術者レイン曰く、時間は虚構で過去も未来も存在しない。この理論を実践するカタチで生み出された時間飛翔機。イワン雷帝を過去から呼び出し、自身は他の人間とともに2222年へとタイムスリップしてしまう。ところがその中に病的窃盗狂のミロフラーフスキーが混じっていた。はたして未来のソビエト至福郷の世界とは?
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