漫画家まどの一哉ブログ
「アダムとイヴの日記」 マーク・トウェイン
読書
「アダムとイヴの日記」
マーク・トウェイン 作
(河出文庫)
アダムとイヴが出会い、お互いの理解が深まってゆく様子をそれぞれの日記を通して描く。ユーモラスで愛に溢れた小品。
「アダムの日記」最初の人類であるから、自分たちや動物たちや周りの世界がなんのためにあるのか二人とも何も知らない。アダムに至っては自分たちの赤ん坊が何なのかわからないし、イヴが泣いているのもわからない。超鈍感でおおざっぱな人間で、馬鹿なのかと思うほどだが男というものはそんなものかもしれない。もっともこれはユーモア小説。
変わって「イヴの日記」の方はうんと細やかな感情や、世界に対する好奇心、実験的な進取の気性に富んでいて生き生きとしている。自然を愛し動物を友とし、地球に生まれてよかった。最初は観察的に見ていたアダムのことがだんだんと好きになり、やがてお互いなくてはならない存在になっていく。その理由はもっぱら相手が異性だからというものだが、それ以上の深い愛が育っていく。
最終ページ。イヴに先立たれた後のアダムの一言が涙を誘う。
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