漫画家まどの一哉ブログ
「もう死んでいる十二人の女たちと」 パク・ソルメ
「もう死んでいる十二人の女たちと」
パク・ソルメ 作
(白水社EXLIBRIS・斎藤真理子 訳)
非常に独創的な文体で書かれた現代韓国文学。光州事件・古里原発事故・釜山で暮らす若者たち。短編8編。
とらえどころがあるような無いような、なんとも不思議な文体で、文法のつながりが何処かへ行ってしまい、ぐるぐる回るような感触。確かに奇妙な現実が起きるが、語り手の立っている現実がそれくらい不確かなものであるのか、それが我々にとってのリアルというものなのかもしれない。
日本で大きな地震があって、津波が来て原発が壊れた。というニュースが韓国でも毎日報道されている。韓国でも隠蔽されていた古里原発事故の話題。そのせいで30km圏内の海浜リゾート地から人々の脱出。光州事件でのとんでもない虐殺。それらははっきりした現実だが、なにが真実かは手触りとしては夢の中のようだ。
付き合っている彼はポケットに入るくらいに小さくなり、街の中をライオンが歩き、その後ろを鍋や釜がついてくる。猫や枕が釜山タワーになったりするが、実際の釜山タワーの形は思い出せない。犬になりたいと言っていた友人が犬になって喋っているのか。自分が犬になっているのか…。殺された十二人の女たちは蘇って殺人者を何度も何度も永遠に殺し続ける。などなど…。
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