漫画家まどの一哉ブログ
「お前らの墓につばを吐いてやる」 ボリス・ヴィアン
読書
「お前らの墓につばを吐いてやる」
ボリス・ヴィアン 作
ボリス・ヴィアンが偽名で発表したピカレスク・ロマン。実は黒人の血が混じる主人公は、人種差別によって殺された弟の復習のため白人への報復を企む。
この主人公の義憤や屈折をもっと丁寧に書いてくれればよかったが、そのへんはあっさりしていて、ただ歌もギターもダンスも運転もうまいマッチョなやつとして描かれている。エンターテイメントとしてはそれで充分なのかもしれないが、これでは感情移入ができない。ストーリーは大半が10代の少女たちとセックスに明け暮れ、機会を得てようやく近づけた金持ちの姉妹との接触もひたすら酒とセックスの描写で、これは個人的な趣味だがまったくつまらない。
「お前らの墓につばを吐いてやる」
ボリス・ヴィアン 作
ボリス・ヴィアンが偽名で発表したピカレスク・ロマン。実は黒人の血が混じる主人公は、人種差別によって殺された弟の復習のため白人への報復を企む。
この主人公の義憤や屈折をもっと丁寧に書いてくれればよかったが、そのへんはあっさりしていて、ただ歌もギターもダンスも運転もうまいマッチョなやつとして描かれている。エンターテイメントとしてはそれで充分なのかもしれないが、これでは感情移入ができない。ストーリーは大半が10代の少女たちとセックスに明け暮れ、機会を得てようやく近づけた金持ちの姉妹との接触もひたすら酒とセックスの描写で、これは個人的な趣味だがまったくつまらない。
全体から見ればラスト10%くらいでようやく殺人。そして警察とのチェイスをへて破滅へと至るわけだが、この辺りは筆がノっていて息もつかせぬ面白さ。残酷だが下品ではないさすがの出来映えだ。
それだけに全体の構成がなぜこうなっているのか惜しまれる。
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