漫画家まどの一哉ブログ
「貴族の階段」 武田泰淳
「貴族の階段」
武田泰淳 作
(中公文庫)
2.26事件を下敷きに、公爵家の娘が密かに知った皇軍派・統括派の動きと貴族・軍人の若者たちの運命を描く悲劇。
武田泰淳のエンターテイメント作品。話の面白さに筆が乗っていてワクワクと読める。実に快感だ。とくに会話のリズム感がたまらない。貴族公族の家庭内を描いて三島より面白いが、三島はもとより貴族であるし、作風が耽美であるにしてもリアルであらざるを得ないが、泰淳はその点ウソかもしれない。ドラマだから。
語り手の公爵家長女が怜悧で現実的な性格であるのに比べ、兄は純粋で繊細。母はスピリチュアルで父は正体を現さぬ権謀術数家。兄が恋する陸軍大臣の娘は情緒的。といった人物設定がいかにも娯楽作品だが、さすがに存在感があって納得できる。貴族の娘たちが見学する陸軍青年たちが、いかにも男臭くチカラ対チカラの世界で確かにそうだと思った。
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