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漫画家まどの一哉ブログ

   
「独裁者の学校」 エーリヒ・ケストナー

「独裁者の学校」
エーリヒ・ケストナー 作
(岩波文庫・酒寄進一 訳)

次々と用意される大統領の影武者。真実を隠蔽して引き継がれる独裁政権の滑稽を描いた傑作戯曲。

知らなかったが児童文学作家として有名なケストナーは劇作家としても数々の仕事をしていて、短いながらも着想が面白く予想がつかない。ヒトラーとナチズムを風刺しているのだが、直接的なパロディではないので薄っぺらなものではないし、政権逆転して民主化されるはずが裏切りにより変質してしまう展開も手がこんでいる。

大統領の替え玉はみんな一般市民であり番号で呼ばれている。ラジオ放送を利用してあたかも大統領の演説と歓喜する群衆が存在するよう演出されている。また、録音されたものを使っているので反対の叫びも放送時には国民に届かないなど、発想が豊かで楽しい。笑えるコメディではないのだが親しみやすいところは、児童文学作家の持ち味かもしれない。




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