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「一条の光/天井から降る哀しい音」 耕 治人
読書
「一条の光/天井から降る哀しい音」耕 治人 作

命終三部作「天井から降る哀しい音」「どんなご縁で」「そうかもしれない」
昭和60年頃、80歳に届こうとする作者夫婦。妻の認知症が進み、作者自身も病を得て入院することになった最晩年の生活を描く。

作者は私小説作家と言っても別に無頼派ではなく、長く出版社にも勤めたし、遊び呆けるわけでもなかったのだが、家計・家事一切を妻に任せきりで、また妻が自分のことは構わずに夫に尽くしてきた後ろめたさがあったのだろう。妻の認知症が進むのもみんな自分のわがままのせいと自身を責めてしまうようだ。そうやって懸命に妻の介護に励むわけだが、その自責の念の裏側にもやはりエゴイズムがあるのではないか。と言えなくもないがそこを責めても仕方がないだろう。人間そんなもんだよ。

おそらく明日はわが身と誰もが思える内容で、ケアマネやヘルパーの世話になりながら毎日をくぐり抜ける様はただただリアルで、日本が高齢化社会に踏み出した初期の実感が得られる。もちろんドキュメントとは違う小説としての愉しさがある。
最終的に妻は特養ホーム、自分は病院で離れ離れに暮らす日々となるが、妻を焦がれ妻がヘルパーに付き添われてお見舞いに来るのを楽しみに待つ気持ちは痛いほどわかる。たとえ相手が自分のことを誰だかわからなくなっていても。

そしてこの苦闘の記録を、病後80歳になった段階で味わい深い作品に仕上げたことに驚く。

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