漫画家まどの一哉ブログ
「病牀六尺」 正岡子規
「病牀六尺」
正岡子規 著
(岩波文庫)
子規が亡くなる直前まで連載した病床エッセイ集。俳句評から絵画論を中心に、室内から見た日々移ろいゆく世界の印象。
エッセイというものは不思議なもので、日常普通のことを気負うことなく自然に書いて面白いのだから謎だ。もちろん文章技術もあるだろうが、書き手の人格の素直さなんかも大いにあるかもしれない。口述筆記というのもいいのかも。
子規が楽しんでいるのは専ら日本画で、こちらは見たこともないその作品が子規の解説によると目にしているかのように分かる。
炊飯会社を起こすべき説への賛同は合理的。炊飯器などなかった時代、個々に飯を炊くよりも誂えた方がよっぽど経済合理にかなっている。
双眼写真というメガネを使っての立体視はこのころからあったとは知らなかった。近眼の人は見えにくいらしい。などなど面白コメントも多数。
朝病状悪く、苦しくてもうこれが絶筆かと思った日も、午後から回復し、祭礼日でもあるし豆腐のご馳走に盃を挙げ愉快に過ごしたが、まだ今月15日もあることを思うと、どう暮らして良いやらさっぱりわからぬ…など愉快愉快。
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