漫画家まどの一哉ブログ
「夢の女・恐怖のベッド」 ウィルキー・コリンズ
「夢の女・恐怖のベッド」
ウィルキー・コリンズ 作
(岩波文庫)
19世紀イギリスで活躍した推理小説の元祖。多彩でスリリングな魅力たっぷりの短編集。
恥ずかしながら知らなかったウィルキー・コリンズ。短編ながら際立つストーリーの面白さ。人間を多面的に描いて表現も品があり、単なる怪奇・ミステリーとは一味違う出来栄えが楽しい。
「夢の女」:誠実だが運のない男が夢の中で女に殺されかかる。後日彼が婚約者と選んだ相手はどうやらその悪夢の中の女のようで、しだいにその恐ろしい本性が露わにされるが、そもそもこの女がどういう存在なのか全くわからない恐ろしさ。怪奇譚。
「探偵志願」:自身を有能な探偵と自惚れる若者。警察に協力し、とある事件の犯人逮捕に向けて張り込みや尾行を遂行する。警察側からすれば初めから彼の間抜けっぷりがちゃんとわかっている様子。手紙形式で書かれた爆笑短編。
「グレンヴィズ館の女主人」:古い館にひっそりと暮らす女性。常に表情に悲しさを湛えた彼女の過去が語られる。平和に暮らす一家に姉が選んだ紳士的でやさしい結婚相手が加わるが…。犯罪と絡んだその男の正体がしだいに明らかにされてゆく。悲劇。
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