漫画家まどの一哉ブログ
「ワーニャおじさん」
読書
「ワーニャおじさん」
チェーホフ 作
戯曲はあまり読まないが、小説でも会話が多いのが好きなので、セリフばかりというのは楽しい。ドラマでも見ているような感覚で読める。
ワーニャおじさんというのは農場を経営しているが実は貴族階級出身のインテリで、農場経営の上がりを、学者に嫁いだ妹を支援するために注ぎ込んだのである。自身もその学者に入れ込んで尊敬し、生涯の大切な時期を学者の手足となって働いたのだった。ところがその学者が、嫁いだ妹亡き今、美人の後添いをつれて村に住み着いた時点で、ワーニャおじさんは彼にまったく失望している。俺の人生はこいつの学説にだまされたおかげでムダだった。それに新しいヨメさんはなんて美人なんだ。というわけ。
そんな彼と同じ屋敷に暮らす人々のさまざまを描く。
最後に拳銃騒動まであるが、そんなヤマがなくてもセリフが豊かというか、解説の言葉を借りれば人間描写の彫りが深い。だからストーリーは簡単でも実にダイナミックだ。
屋敷にたびたび訪れる医師は先進的なエコロジストで、森林が金儲けのためにどんどん伐採されていくのを嘆き、森の小屋を作って樹々の生育を研究している。チェーホフの時代(1890年代)に既に今日的環境問題が持ち上がっているとは知らなかったし、チェーホフが登場人物の言葉を借りて、持論を展開するのもやや感心した。
「ワーニャおじさん」
チェーホフ 作
戯曲はあまり読まないが、小説でも会話が多いのが好きなので、セリフばかりというのは楽しい。ドラマでも見ているような感覚で読める。
ワーニャおじさんというのは農場を経営しているが実は貴族階級出身のインテリで、農場経営の上がりを、学者に嫁いだ妹を支援するために注ぎ込んだのである。自身もその学者に入れ込んで尊敬し、生涯の大切な時期を学者の手足となって働いたのだった。ところがその学者が、嫁いだ妹亡き今、美人の後添いをつれて村に住み着いた時点で、ワーニャおじさんは彼にまったく失望している。俺の人生はこいつの学説にだまされたおかげでムダだった。それに新しいヨメさんはなんて美人なんだ。というわけ。
そんな彼と同じ屋敷に暮らす人々のさまざまを描く。
最後に拳銃騒動まであるが、そんなヤマがなくてもセリフが豊かというか、解説の言葉を借りれば人間描写の彫りが深い。だからストーリーは簡単でも実にダイナミックだ。
屋敷にたびたび訪れる医師は先進的なエコロジストで、森林が金儲けのためにどんどん伐採されていくのを嘆き、森の小屋を作って樹々の生育を研究している。チェーホフの時代(1890年代)に既に今日的環境問題が持ち上がっているとは知らなかったし、チェーホフが登場人物の言葉を借りて、持論を展開するのもやや感心した。
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