漫画家まどの一哉ブログ
「ミハイル・ブルガーコフ作品集」
「ミハイル・ブルガーコフ作品集」
(文化科学高等研究院出版局)
ウクライナ危機にあたり、緊急応援出版として企画されたウクライナの大作家ブルガーコフの作品集。2010年に発行されたものに図版(写真)を追加して再発行。本書の売り上げはウクライナ大使館へ寄付されます。
私は2010年発行の本書を当時購入していて読書日記も書いているのだが(2011.7.12)、そのことをすっかり忘れていて読み終わっても思い出さず、そのまま今回二度目の読書日記を書いた始末である。以下がそれであります。
文化科学高等研究院出版局は知らなかったが、三和酒類の冊子「iichiko」を出しているところか。もとよりブルガーコフは私の最も敬愛する作家で、迷わず購入した。
ごく短い小編をはじめ名作「モルヒネ」や「巨匠とマルガリータ」初期稿断片など。戯曲「偽善者たちのカバラ」は検閲前の版から訳出したもの。モリエールを主人公とする四幕劇でたいへん面白かった。モリエールの無神論的な作品「タルチュフ」をめぐる国王や大司教からの弾圧は、言わずもがなブルガーコフとソヴィエト連邦政府との成り行きを下敷きにしている(と思われる)。
今更だがブルガーコフ作品は戯曲も小説も会話(セリフまわし)がいきいきとしていて人間臭く、巻末「ソヴィエト連邦政府への手紙」にもあるとおり、風刺作家を自認するだけあってのこの人間描写。本書のサブタイトルも「権力への諧謔」だからね。
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