漫画家まどの一哉ブログ
「ピエールとリュース」 ロマン・ロラン
読書
「ピエールとリュース」 ロマン・ロラン 作
「ピエールとリュース」 ロマン・ロラン 作
文豪が大長編執筆の合間に息抜きも兼ねて描いた短編?
第一次世界大戦戦時下、いよいよ差し迫るドイツ軍の空爆の最中、ふと出会った青年ピエールと貧しい絵描きの少女リュースのわずか2ヵ月間の短い恋愛を描く。裕福な階層に育ったピエールの純真さと、母との暮らしのために模写絵を売ってしのぐリュースの生活実感に差があって面白い。戦争が近づいても二人は死を前にした一瞬を慈しむように、あえて世の中には眼を向けずに過ごす。
話は直球で恋愛感情の揺らぎもなければ、社会の激変による運命の変転もなく、10代のピュアなラブロマンスを讃えて終わる。これだけでは作者の人間観はわからないが、青少年の純情を信じているところから、根本的には人間性を信じているのかもしれない。長編未読。
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