漫画家まどの一哉ブログ
「ジゴロとジゴレット」 モーム
読書
「ジゴロとジゴレット」モーム 作
サマセット・モームの短編集。「月と六ペンス」の面白さから比べると、短編はやや物足りないのは、やはりうまくまとまりすぎているからであろう。愛を描き良心を描き、多彩な人生ドラマなのだが、どうしても心憎いばかりの展開・演出というものが目立ってしまって、生々しさに届かないのが不満だ。うまくなくていいから、もっと本気で人間性の断面を切り取ってほしい。幾つかの作品は、裕福な階層の女たちが社交界やリゾート地で繰り広げる心の変転など、ユーモラスに描いたものだが、関心がないのでちっとも面白くない。
「マウントドラーゴ卿」:政界にあって飛ぶ鳥をおとす勢いの外務大臣だが、就寝中の悪夢に悩まされ、有名な精神科医の元を訪れる。自分でも無自覚な魔術的な癒しの技術を持つこの精神科医が、人を見下して生きる高慢な政治家を改心させて悩みを解決するのかかと思うとまるでそうではない破滅的な結末。しかも理由がわからないという、短編には珍しいなりゆき。こういうのが逆に面白い。
「ジゴロとジゴレット」モーム 作
サマセット・モームの短編集。「月と六ペンス」の面白さから比べると、短編はやや物足りないのは、やはりうまくまとまりすぎているからであろう。愛を描き良心を描き、多彩な人生ドラマなのだが、どうしても心憎いばかりの展開・演出というものが目立ってしまって、生々しさに届かないのが不満だ。うまくなくていいから、もっと本気で人間性の断面を切り取ってほしい。幾つかの作品は、裕福な階層の女たちが社交界やリゾート地で繰り広げる心の変転など、ユーモラスに描いたものだが、関心がないのでちっとも面白くない。
「マウントドラーゴ卿」:政界にあって飛ぶ鳥をおとす勢いの外務大臣だが、就寝中の悪夢に悩まされ、有名な精神科医の元を訪れる。自分でも無自覚な魔術的な癒しの技術を持つこの精神科医が、人を見下して生きる高慢な政治家を改心させて悩みを解決するのかかと思うとまるでそうではない破滅的な結末。しかも理由がわからないという、短編には珍しいなりゆき。こういうのが逆に面白い。
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