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漫画家まどの一哉ブログ

   
自作について(mixi日記に加筆)
「アックス77」の「信じられた遊び」は、前号に続いて宗教団体が舞台ですが、「QJ」に描いていたころからよく使う設定だ。もし自分が宗教について深く考えていれば、もっと掘り下げた世界を展開するところだが、自分の人生の上で宗教には何の興味も無い。社会現象としてみているだけ。
そういう外から眺めている範囲での、実社会のリアリズムはぜひ描きたいところです。そういう点でこの作品は、いつもの奇想シュール系ではないですが、自分では気に入っております。

ところで自分は青春や人生といったテーマで語るタイプではないが、大きなものでも小さなものでも、社会共同体といったものには興味がある。サークル的小集団から果ては国家までである。しかもその社会共同体はしばしばある種の錯覚によってまとまっているところがおもしろい。
例えば日本民族は優秀な美しい民族であるとか、虐げられた労働者が団結すれば善を為す。などである。
これらの理念型錯覚は言い方をかえれば、お人好しというところが愉快だ。つまり人間性に対する一面的信頼と権力というものに対するぼんやりした甘い期待である。

人間とは欲望に忠実な存在で、どうせろくなことはしない。そしてあらゆる国家は少数の凡人による、多数の凡人への支配で出来上がっているので、たいして違っちゃいない。というのが自分の基本的な認識です。悪への理念というものはめったになく、世の社会的理念はしばしば正義を旨としておりますが、ここに小さな大失敗の原因があり、ああ漫画になるなと思うのであります。

しかしふだん描いているものは、ぜんぜん違うのです。

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